ビジネスにおけるコミュニケーションの重要性
ビジネスを進めるうえで、周囲の人々とのコミュニケーションをスムーズに行うことは非常に重要なことです。昔から「ほう・れん・そう」と言われるように、上司との間で緊密に報告、連絡、相談を行うことはビジネスマンとしての基本動作であり、それ以外の人との間でも適切なタイミングで適切な情報交換を行うことは自分の評価を高めるために必要不可欠です。もっとも、言うは易く行うは難しという格言のとおり、コミュニケーション能力を高めることは一朝一夕に行うことはできないため、日々の研鑽が求められるのです。
情報発信力を高める方法
コミュニケーション能力というのは、情報を発信する能力と情報を受信する能力の二つから構成されます。このうち、情報発信力を高めるためには、なるべく端的に相手に対して自分の考えを伝えるようにすることが必要となります。そのためには、目的や結論をまず最初に話すことです。外資系企業で活躍するビジネスパーソンの多くはこの基本動作が身についているのですが、たいていの日本人は最初に理由から話し始めることが多いため相手からすると何を言いたいのか分かりにくいということになってしまうのです。具体的な方法には、PREP法と言われるプレゼンテーションなどで使われる話し方があり、これはポイント(Point)、理由(Reason)、例示(Example)、ポイント(Point)の順番で話すというものです。最初と最後にポイント、すなわち自分の考えや結論を持ってくることで、相手に対して言いたいことを強調することができるという訳です。
発信力を高めるためのもう一つの効果的な方法が、相手のレベルに合わせるというものです。十分な知識を有している人に対しては難しい話をしても伝わりますが、知識が不足している人にその知識があることが前提の話をしても全く内容は伝わりません。そのため、自分がコミュニケーションを取ろうとしている人の知識レベルを確認したうえで、それに合うように話をするということが大切なのです。また、相手のレベルに合わせるということは、何も知識量だけに限った話ではありません。話すスピード、声のトーンや大きさ、表情などについても相手と同じように振る舞うことで、親近感を持ってもらうことができ、より円滑にコミュニケーションができるようになるのです。
情報受信力を高める方法
情報受信力を高めるためには、相手に自分が話しやすい人物であると思ってもらうことが肝要です。そのための一つの方策としては、相手の話を聞く際に心と体を傾けて聴くという傾聴の姿勢を心がけるということがあります。傾聴においてもっとも重要なことは、相手が話している内容を頭ごなしに否定しないということです。せっかく一生懸命話をしているのに、相手から「それはおかしい」、「それは間違っている」などと言われれば、そのまま話を続けようと思う人は少数派でしょう。話している相手を気持ちよくさせて、より多くの情報を引き出すために、適度に相槌を打ったり、うなづいたりしながら話を聞くというのは、ビジネスマンにとってコミュニケーションを円滑にするための大切なスキルなのです。
受信力を高める二つ目の方法は、ビジネスマンにとって効果的なものとして推奨されているバックトラッキングという方法です。これは、相手が話している内容を自分の言葉で反復して話すということなのですが、ポイントとなるのはまったく同じ表現を用いておうむ返しのように話すのではなく、相手の言葉を引用したうえで自分の言葉に言い換えて伝えるということです。このやり方を実践することによって、相手は自分の話をしっかりと聞いてくれていると思うようになり、より積極的に多くの情報を提供してくれるようになるでしょう。