社会人になった数年後のある日、新宿の歌舞伎町で高校時代の同窓会を開くというはがきが来ました。しかし何故、東京の中でも指折りの繁華街として知られる歌舞伎町を会場にしたのか珍しいと思ったのは事実です。高校時代の部活仲間に聞いてみると、同窓生の一人が新宿の歌舞伎町に居酒屋を出店した為、そのお祝いも兼ねていると聞かされました。学生時代には映画やデート等で新宿の歌舞伎町を利用した事はありましたが、基本的には遅い時間は避けていたと言って良いでしょう。
同窓会は、夜の7時スタートとあります。会場は東京都新宿歌舞伎町の賑わいある中でも、群を抜いて派手な歌舞伎町一番街のネオンゲートを潜り数百メートル行った所です。同窓会当日は日曜だからなのか、あるいは平日でもそうなのかは分かりませんが、外国人が多い事に驚かされました。バックパッカー風の若者・仲睦まじい家族連れ、女性だけのグループ等様々です。
同窓会会場の店内に入ると日本人もいましたが、外国人が多いのは変わりません。昔の面々に顔を合わせ歓談していると、仕事は休憩になったのか店長になったクラスメイトが会場に現れ、懐かしい思い出話に花を咲かせていました。新宿歌舞伎町もだいぶ印象が変わったと私が言うと、外国人旅行者が増えたのを切っ掛けに宿泊ホテル等の再開発が進んだと言います。
そんなこんなで3時間近く飲んでいましたがとりあえず1次会はお開きとなり、親しい面々だけで2次会に繰り出す事になりました。何処へ行くのか決めていませんでしたが、仕事を終えた店長が独特の雰囲気を残す新宿ゴールデン街を提案しました。新宿ゴールデン街と言えば東京の新宿歌舞伎町でも、著名な小説家・漫画家、俳優等が店で働いた経験があったり、店の経営者が数えきれない程いる事でも知られています。私は行った事がなかったので、興味津々です。
新宿ゴールデン街のゲートを潜ると、レトロ感覚溢れる懐かしさとワクワク感が込み上げてきます。外国人は他の観光地へ行く物と思っていましたから、外国人にもこの魅力が分かるのかも知れないと思いました。数多ある店の中、年季の入った店構えのバーに入ると店内も広さは控えめですが、雰囲気の良いお店です。そのせいか友人の下宿にでも居るかの様に落ち着け、取り留めもない話でも盛り上がれました。結局終電間近まで飲み、2次会終了です。皆と別れ、今度は一人で来ようと思いながら歌舞伎町を後にしました。